3泊4日のラマユル・アルチでのゴンパ巡りと、フォトクサルのザンスカールトレッキング【前編】

December 05, 2019295 View

2019年8月6日〜9日の3泊4日で訪れた、下ラダックと呼ばれる、ラダック地方西部。
当初予定していたのは、ラマユルゴンパ、アルチゴンパ、サスポルの石窟ゴンパ、バスゴゴンパのゴンパ巡り。それに加え、ラマユルで「フォトクサルまで行ってみるか」と決心し、ザンスカールトレイルの只中にある小さな村へ足を伸ばしました。

実際に旅をしたのは赤い線。
今回諦めた、所要10日間前後を要するザンスカールトレッキングルートは青の点線です。

青の点線を歩いたあと、ヒッチハイクなりローカルバスを乗り継ぐなりして、青い線の車道で、レーに戻って来るのには2週間くらい見た方がいいかな。でも仕事もあるし、そんなに長いことオフラインではいられないな。と思って止めてしまったけれど、時間の余裕を持っていつか戻ってきたいなー。今回関係ないけれど、前回のブログで、スクーターで廻ったのは右端の緑の線。

長くなりそうなので、前編・後編に分けたいと思います。

1日目 レーからラマユルへ

ラマユル(Lamayuru)行きのバスは、レーのバスターミナルを毎日15:00に出発。料金は210ルピー(320円)。
前情報で、進行方向の左側が渓谷がよく見えるらしかったので、14:00には停車していたバスに乗り込み、席を確保。予定時刻ぴったりにバスは走り出しました。

目指すラマユルはここです。

レーを出発して、インダス川沿いを西へ。

お客さんを降ろしたり拾ったりしながらのんびり進み、途中 Khalsi という大きめの村で30分ほどの休憩がありました。

Aaaa

Khalsi の先にある分岐からは急に渓谷が深くなります。渓谷の中には陽の差さない時間になってしまったのが残念だけれど、崖に迫った道路を走行するのはなかなかにスリリング。

ラマユル近郊には「月世界(Moonland)」と呼ばれるクリーム色をした、大きな奇岩地帯があります。

ラマユルに泊まる

暗くなり始めた19:00近く、目的地ラマユルに到着。
バスを降りるとゲストハウスの客引きが数人、声をかけて来て、そのうちのもっとも押しの強いおばちゃんに着いて行くことにしました。

おばちゃんの経営するゲストハウスは、10以上の部屋がある比較的大きな宿で、朝食と夕食込みで二人で1,000ルピー(1,500円)/泊。泊まった簡素なダブルルームにはシャワーとトイレもついていたけれど、「シャワーのお湯がこっちの方が温かいから」とご自宅のシャワーを浴びさせてもらいました。

シャワーのあと、リビングルームでの夕飯時には、バンガロール出身のインド人夫妻と、ドイツ人男性と一緒になり世間話。
その場にいた全員の職業はプログラマー。インド人ご夫婦は仕事を辞めて現在インド全国を旅行中だそうで、インドでそういうことをする人はまだ珍しいので、ドイツ人男性には「ヨーロッパスタイルだね」と言われていました。

夕飯のチョーメンとチャーハン

ドイツ人男性は、もう何年もこのエリアに通っていて、10年近く前には、ラマユルからダルチャ(Darcha)までの、ザンスカールロングトレイルを20日ほどかけて歩いたそう。
ここ2〜3年は山奥のマイナーなトレイルに挑戦していて、先日やっと歩き切り、ラマユルの馴染みの宿で休憩をとっているところでした。本格的な地図で「去年はこの川を渡ることが出来なくて」と説明してもらったけれど、難しすぎた地名は失念。

ここで私は、憧れのトレイルのロングバージョンを歩いた人と出会い、猛烈に山の中を歩きたくなってしまった。
ゲストハウスのおじちゃんから、「ジープを持っているから乗せていけるよ。」と提示されたジープチャーター代は、ラマユル〜ハヌパタ(Hanupatta)が2,500ルピー(3,750円)、ラマユル〜フォトクサル (Fotoksar)が5,000ルピー(7,500円)。空いている車さえ見つかればチャーターって案外簡単なんだな、でもエリアの物価からするとかなり高額だなー。。
この夜は、何度も地図を確認してはシュミレーションを繰り返し、なかなか寝付くことが出来ませんでした。

どう考えたって、テントもクッキングストーブも持って来ていない現状の装備で、数日間に渡るトレッキングを開始するのは不安だ。レーに置いてくるんじゃなかった。
でも、せっかく目の前に壮大なトレイルがあるのに、ここからゴンパ巡りだけしてレーに戻るなんてもったいないにも程がある。
考えがまとまらないまま朝を迎え、朝食前にラマユルゴンパを見に行きました。

2日目 ラマユルゴンパ

ラマユルの町は山肌に張り付くような形で民家が立ち並び、山の上の方がゴンパになっています。

ラダック地方での挨拶は、朝でも昼でも夜でも「ジュレー」。
町の人たちに「ジュレー」と声をかけると、倍の大きな声で「ジュレジュレジュレジュレー!!」と元気な返事が返ってきます。

坂道や階段を登っていくと、ゴンパの入り口がありました。

開かれたいくつかの扉をくぐり、内部を見学。

チベット仏教の知識が全くないのが恐縮だけれど、そんな頭で考えることはさておいても、この小さな空間には圧倒的に穏やかな空気が満ちていて、心が震える。

ラマユルゴンパは、町とゴンパの境目がなく、ゴンパの敷地内のような場所にも民家があり、おばちゃんが煮炊きをしたり、子供がヤギに餌をやっていたりしました。

朝日を浴びた、月世界(Moonland)。

本堂からさらに坂道を登ると、ストゥーパとマニ車が並んでいて、そこでは、昨日同じバスに乗っていたおじいちゃんが、片手で手持ちの大きなマニ車をグルグル回し、もう片方の手で、壁に取り付けられたマニ車を回し、歩きながら大きな声で祈りの歌を歌っていました。

本来、ゴンパは旅人の宿泊施設という役割もあって、ラマユルゴンパは泊まることも出来るみたい。ゴンパの中にゲストハウスのような建物があって、テントを張っている旅人も。

昨日出会ったドイツ人男性も、「このエリアの全てが好きなんだ。夏に長めの休みがあるとどうしてもここに戻って来てしまう。」と話していたけれど、なんとなく分かる。

辺境の冒険感があるし、その上信仰心の強いこのチベット文化圏だもの。現代日本人からすると、ファンタジーの世界にも見えてしまう、こんなに旅感のある場所ってそうそうない。

おじちゃんに、とりあえずフォトクサルまで連れて行ってもらおう。
そして南のパダム(Padum)は目指せないけれど、歩いたりヒッチハイクしながら、ラマユル方面に北上しよう。
強く思っていれば、また戻って来られる幸運な境遇にいるんだし、また来ればいい、今回は下見だ!(←そればっかりw)

急いで宿まで下り、おばちゃんに意向を伝えると、畑に行っているおじちゃんに電話してくれました。

そして、「私と孫も一緒に行ってもいい?あなたたちだけで座席は余っているし、フォトクサルに行ったことがないから。」と言うおばちゃん。

喜んで!常連のドイツ人男性に、留守をお願いして、みんなで出発です。

町の売店でクッキーやバナナを買って車に乗り込みます。あー!ワクワクする!!

ラマユルからフォトクサルへ

途中の村ワンラ(Wanla)やパンジラ(Panjila)までは道も舗装されているので車も走りやすい。

パンジラからハヌパタ(Hanupatta)までの細く深い渓谷は、徐々に道路が悪くなるけれど、岩壁が不思議な色をしていて、スペクタクル。帰り道はここを歩けるなんて素敵。

ハヌパタ村を越えて、シシラ峠へ。

おじちゃんの、カシミール国境で領有権をめぐる印パの争いのせいで今年は例年よりかなり観光客が少ない話や、氷河が毎日目に見えて後退している話、こっちに向かって数日歩けば〇〇村があってという途方もない道案内を聞きながらのドライブ。

シシラ峠を越えてフォトクサル方面へ。

ラマユルを出発して4時間、時間はまだ正午。出来たらフォトクサルより少し先も歩きたいな、と思いおじちゃんに相談すると、フォトクサル村の近くの「HOTEL」と壁に殴り書きされた小さなお茶屋さんに大きな荷物は置かせてもらって、 さらに南のシギラ峠の途中まで送ってもらえることになりました。

おばちゃん、「フォトクサルに行ったことがないから、行ってみたい」と言っていたわりに、景色にも小さな村にも、おじちゃんの話にも全く興味がなくて、早くラマユルに戻りたそう。

雨がぱらついていたのであまり遠方には行かずに、フォトクサル村を過ぎて7〜8kmほど走ったところで降ろしてもらいました。
おじちゃんありがとう。

降ろしてもらったところから、シギラ峠を眺め「あの峠を越えたらどんな景色が広がっているんだろう、行ってみたい!」と思う私、これだから一生旅は終わらないのだ。

でも、この日は宿泊予定のフォトクサルまでのんびりと歩いて戻ります。

素晴らしい景色と、嬉しそうにお菓子を食べる、ハードな旅路が私ほど好きではない夫。

放牧されているゾッキョ。

他に誰もいないトレイルを2時間ほど歩くと、対岸に、山肌に張り付く民家が見えてきました。

30軒程度の本当に小さなフォトクサル村、大自然の片隅に必死でしがみついているみたい。

フォトクサル村の周囲は、公共の乗り物はないし道路は舗装されていないものの、トラックやジープ、オフロードのバイクが稀に通行していて、現在リンシェ村(Lingshed)までは車道が通っているようです。
軍事的に重要な場所だから、政府は道路や電気を早急に通したいようだけれど、遅々として工事は進んでいない、とラマユルのおじちゃんはぼやいていました。

フォトクサルに泊まる

散歩を終え、戻ったお茶屋さんの前では、中学生くらいの子達がお菓子を食べながらお喋り中でしたが、お茶屋の主人は私たちを見ると、構う事なく店じまいをし、一緒にフォトクサル村へ歩き出しました。

大麦畑を通過して、村の人たちが洗濯や食器洗いをしている小さな水路を通り過ぎ、細い路地を入って行ってやっと宿に到着。

屈んで小さな入り口を入り、そこにあった梯子を降りると中庭のように開けたスペースに出ました。

中庭を取り囲むように、キッチン、物置小屋、トイレ、ヤギの小屋(!)などが並んでいます。その中の一番綺麗な部屋と思われる客室が、今夜私たちが宿泊させてもらうスペース。

客室
壁にはゾッキョの毛が!

トイレは、扉のある広さ一畳ほどの土間の床に、50cm四方の大きな穴が開いただけのもの。建物全体には水道もなく、中庭の端っこには、古びた缶や瓶に水が貯めてありそこが水場のよう。一応、電気はきているみたいだけれど、裸電球があるのは私たちの泊まる客室のみ、という質素さです。

荷物をおき、先ほど通り過ぎた水路で靴下や顔を洗って部屋に戻ると、お茶の準備が出来たよーと声がかかりました。

キッチン

一枚の毛布を敷いただけの土間に腰かけると、淵の欠けたカップに入れられた甘いお茶と、床に転がっていた古そうな食べかけのチャパティを渡されました。

かなり貧しいところに来てしまったな、、暖かいエリアならまだしも、寒い場所でこのレベルは私史上初かもしれない。と失礼なことを思ったけれど、腹ぺこだったのでありがたく残りもののチャパティをいただきます。

伝わる数少ない英単語で話をしていると、ここに連れて来てくれたお茶屋の主人であるお父さんは45歳で、お母さんは41歳。現在ここに住んでいるのは夫婦2人だけれど、5人の子供がいて、一番上の子はワンラで働き、一番下の3歳の子も含めた4人はゴンパに住んでいるらしい。教育のため?それとも食い扶持を減らすため?そのどちらもだろうな。

「冬もここに住んでるの?」と聞くと、「もちろん。すごく寒いよ。」と言ってました。
「レーの写真はある?」と言われカメラを渡すと、食い入るように二人で眺め、特にラマユルゴンパや、ティクセゴンパの写真はとても嬉しそうに見ていました。

夕方、お父さんは放牧しているヤギを回収しに出かけ、お母さんは裏庭から葉野菜を採って来て夕飯の準備を開始。

泥のついた採れたての野菜を、葉っぱと茎に分けて、水洗いはせずに、フライパンで火にかけて、塩を少々。別の鍋でお米を炊いて夕飯の出来上がりです。

おかずは潔く葉っぱの炒め物と、お塩のみ。お茶は砂糖入りの甘いバージョンと、塩入のしょっぱいバージョンの2種類。うーん!美味しい、けれど、貧しい!

食事の後半、お父さんとお母さんは、大切そうに裏から取り出して来た、大麦を原料にした「チャン」というどぶろくのような自家製酒を飲み始め、仲良さそうににニコニコと話していました。
ネパールのヒマラヤエリアでも何度も飲んだことがあるチャン、少し飲ませてもらったけれど、まろやかでとても美味しかった。夫は、一杯だけのチャンを飲み切り、もっと欲しそうな顔をしてたけれど、二人の幸せを奪いたくないので押し留めました(笑)

室内と言っても、立て付けも悪くて壁も薄いので、テントで寝てるのと変わらないくらいの屋外感の客室。やることもないので、ぺたんこの布団の上に持参の寝袋を敷き、目一杯着込んで、早めに就寝。

翌朝。

寝起きで外に出てみると、中庭では、お母さんが大麦を広げていました。

キッチンからは、お父さんの大きな歌声が聞こえており、それに合わせてお母さんも時たま声を重ねて歌います。キッチンを覗いてみると、お父さん、手持ちのマニ車を回し経典を読み上げ、真剣にお祈り中でした。

今日は1日天気が良さそう。

朝食には、甘い紅茶とチャパティ。お父さんは大麦を粉にしたものにお湯をかけて練って食べる、ツァンパ。チャパティはお昼ご飯用にとっておくみたい。

昨日のうちに宿泊費を確認した際に「いくらでも」と言われていたので、朝食後、ラマユルと同じ1,000ルピー(1,500円)を渡しました。あとは、夕飯の時に「ナイフが折れちゃって」と見せられていたので、あまり使っていない小さなアウトドア用のナイフ。
お父さんはそんなことはなかったけれど、お母さんはその金額では不服そうな雰囲気、お互いに笑顔でお別れしたいのに、こういうのって難しいな。

でも出発する時は「また来てね!」と笑っていたから、他意はないんだろうな。
いい体験をありがとうございましたー!

フォトクサル村はおとぎ話みたいだったなあ、ここまで来れてよかったなあと余韻に浸りながら、昨日車で来た道を、歩きとヒッチハイクで戻ります。

ワンラまで行けるといいな、欲を言えばアルチ。

後編に続きます。

 

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