3泊4日のラマユル・アルチでのゴンパ巡りと、フォトクサルのザンスカールトレッキング【後編】

December 10, 20192,839 View

2019年8月6日〜9日の3泊4日で訪れた、下ラダックと呼ばれるラダック地方西部。
3日目のこの日は、宿泊していたフォトクサル村を出発し、昨日ジープで送ってもらった道を徒歩で帰ります。

(1日目、2日目のはなし → 3泊4日のラマユル・アルチでのゴンパ巡りと、フォトクサルのザンスカールトレッキング【前編】

地図の南に位置するフォトクサル(Fotoksar)〜ハヌパタ(Hanupatta)は27km、ハヌパタ〜パンジラ(Panjila)は12km、パンジラ〜ワンラ(Wanla)は8km。
ヒッチハイク出来ずに全部歩くことになったら、ハヌパタ村に泊まることになるだろうな。

3日目 フォトクサルからパヌハタへ

フォトクサル村をあとにし、まず向かうのは標高4,800mのシシラ峠。
美しい青空の広がるいいお天気で、朝の空気は澄み渡っており、歩きたい気持ちは満タン。27km先のハヌパタ村なんて、楽勝な気がする。

後ろを振り返ると、遠ざかるフォトクサル村では各々の家で家庭の煙が立ち昇っていて、とてもいい雰囲気です。きっと毎朝の風景、こんな山の真っ只中で、春夏秋冬自然と共に暮らす生活。

デイバックだけの軽装の私は、ここで暮らす一年を夢想しながらウキウキと峠への斜面を登っていますが、二人分の寝袋と防寒着の詰まったバックパックを背負う夫は、長い距離を歩くことになったらキツいだろうな。

ずっと車道に沿って歩くのもまだるっこしいので、時折ショートカットの急登の道を進み、ぐんぐん標高を上げていきます。

登る度に印象の変わる山々や、氷河を懐くカールや、足元に広がる野花を眺めつつ、気がつけば随分と登ってきました。

車道はコンクリートで舗装されてはいないけれど、かなり整備されている。トレッカーには悲しい光景だけれど、村の人たちの物流には便利だろうな。

昨日、ジープを運転していたラマユルのおじちゃんは、観光客が自分たちの車で僻地にまで行けるようになって、ジープチャーターやガイドの仕事は減ってしまったし、マナーや土地の文化を守らない旅人も多いから、道路ができるのはプラス面だけではないと話していました。

それは、世界中どこででも起きていることで、私たち旅人も、便利になる反面の元々あったものが失われるネガティブな面を感じています。どこにでも行かれる現代の便利さと好奇心には抗えないけれど、せめてその土地で暮らす人や文化や自然には、最大のリスペクトを持って旅したい。

夫の奥の、平らな白い大地がシシラ峠

タルチョのはためくシシラ峠に到着!お水とお菓子で休憩です。

シシラ峠からハヌパタ方面へ向かう景色、荒涼とはしているけれど、山肌の色が明るくてすごく綺麗。

ぼーっと景色を眺めていると、来た方角から一台のジープが峠を登ってきて、お互いに手を振り合い目の前を通り過ぎて行きます。
あれ、これって乗せてもらえたらラッキーなやつじゃなかったっけ?

急に現実に戻って、過ぎ去った車を走って追いかけ、早速だけれど乗せてもらっちゃいました。

途中で、ハヌパタ村に向かって歩いていた、家畜を放牧中のおじさんも乗せて、一路ハヌパタへ。

30分ほどでハヌパタ村に到着。乗り賃は「as you like(お好きな値段で)」と言われたので、500ルピー(750円)を渡すと、驚いた顔をして、ハヌパタ村の人たちに自慢していました。300ルピーくらいがちょうど良かったかな、、

ハヌパタ村はフォトクサルに比べて、人も多く活気があり、そして標高がかなり下がったようで暑い!

パヌハタからサスポルへ

小さな売店を見つけたので、そこでジュースを買い、パンジラ村に向けて歩き出します。

広い景色を見張らせた峠越えとはうって変わり、色彩やかな渓谷の谷間、水量豊富な川沿いの細い道。

白土の道路に、紫や緑がかった岩肌がそびえて、その先は青空と白い雲。日差しが強くて、目がチカチカする。

道路に覆いかぶさるような、巨大な岩壁は、黄、紫、緑とはっきりと色付いた層で分かれています。
すごいな、これだけでも観光名所になりそうだ。

ハヌパタ村とパンジラ村の中間に、道路舗装と通電工事のはざまがある様子で、ずっと電線の通ってない電柱が立ち並んでいたけれど、これよりパンジラ方面には電線が張られていて、この辺では電線が地面に放置されていました。

危ない気がする電線

日本が手伝ったら、あっという間に電気ぐらいは通るだろうな。

舗装路と未舗装路のはざま。

美しい渓谷なのは変わりがないのに、舗装路になった途端に歩くのがしんどくなるのはなんでなんだろう。

暑い、、
コンクリの道に飽きて、できればまたヒッチハイクしたい。車が通る度に振り返るけれど、残念ながら全て満車なので、引き続き歩きます。

夫との距離がどんどん広がる、こんなでは荷物を背負って10日前後も歩けないな。体力ないのにハードな旅をしたがって、ごめん。

黙々と歩き、遠くにパンジラ村が見えてきました。

パンジラは、ハヌパタと同じくらいの大きさだけれど、数軒の売店の他に食堂もあり、フォトクサルに比べると随分暮らしやすそう。

そしてここで、今日これからレーに向かうというジープに乗せてもらえました。
ということで我々のザンスカールトレッキングは、歩いた総距離20km強で、あっという間に終了(笑)。

車で楽々、大きなゴンパのある、ワンラ村を通過。

ザンスカールエリアは、ぜひまた戻ってきたい、ハードだけれどとても美しい場所でした。ただ想像よりも車道の整備が進んでいたので、徒歩とヒッチハイクか、または自転車で戻ってきたいかな。

ワンラから大きな通りに戻ってきて、レー方面へ。

ラダック地方では乗合タクシーや、ヒッチハイクは一般的な交通手段で、道端には車に乗りたい人がポツポツ立っていて、乗用車でも空席があれば停まって乗せます。この日のレー行きのジープも何人もの人を乗せたり降ろしたり。私たちは、サスポルで降ろしてもらい、800ルピー(1,200円)を支払いました。

サスポルの石窟ゴンパと、アルチに泊まる

レー行きの車に乗っていたけれど、サスポル村(Saspul)の洞窟ゴンパと、5kmほど離れたアルチ村(Alchi)のアルチゴンパを見学するために、サスポルで途中下車。

まずは丘の上にある、サスポル洞窟ゴンパへ。
見学しにくる観光客もほとんどいない小さな石窟ゴンパ、丘の上のなかなか分かりづらいところに小さな入り口が。

静かな斜面に無理やり作られた入り口を潜ると、色鮮やかな仏教画がびっしり描かれた空間が広がり、蝋燭の炎がゆらゆらと揺れていました。

石窟ゴンパから眺めた、サスポル村。

来た道を降り、見せてもらったサスポルの宿がいまいちだったので、そのままアルチに向かうことに。

今朝フォトクサルを出発したんだよね、盛り沢山すぎて疲れてきた。

ここからアルチまで5km歩くとか無理かも、とヒッチの合図を出していると、残り3kmくらいのところで車に乗せてもらえました。良かった。距離が短かったからかな、優しい青年、お金はいらないって。

アルチはアルチゴンパが有名なだけあって、小さな町なのにゲストハウスと食堂がたくさん。いくつかのゲストハウスを見せてもらって、インダスビューゲストハウス(INDUS VIEW GUEST HOUSE)に泊まることに。

庭は花盛りで、日除けのあるベンチでは、家族がアプリコットの山を仕分けていて、とても穏やか。宿代は朝食込みで、シャワートイレ付きのダブルルームが1,000ルピー(1,500円)。

このゲストハウスだけでなく、標高3,100mのアルチは、標高3,500mのレーよりも暖かくて、安穏とした町でした。

ここ2日、薄い味付けのベジタリアンフードしか食べてないので、味の濃い肉料理が食べたい、と荷物を置いて早速インド料理屋さんへ向かい、バターチキン。

これだけ観光客がいるということは、どこかでビールが飲めるんじゃないかと期待し、ちょっと探したけれど見つけられず、手持ちのブランデーを一口飲んでこの日は就寝。こんなにお酒を飲まないで過ごす日々は、6年前のネパールのトレッキング以来じゃないかな。

4日目 アルチゴンパとバスコゴンパ

4日目、宿の朝食を食べて、アルチゴンパ(Alchi Monastery)へ。

アルチゴンパ

アルチゴンパの拝観料は100ルピー(150円)/人。

撮影が禁止されていたので写真はないですが、壁画の美しさは、廻ったゴンパの中でここがピカイチでした。壁いっぱいにびっしりと緻密に絵画がれた、色鮮やかな神様たち。

私も夫もここのゴンパが最も美しかった思い出で、それもそのはず。仏典の翻訳家『リンチェン・サンポ』が11世紀に西チベットに建設した、108のゴンパのうち、アルチゴンパは芸術的に最も重要とされているそう。

大量の密教経典をチベット語に翻訳し、大訳経者と呼ばれる、リンチェン・サンポ(958-1055)。

バスゴゴンパ

アルチゴンパ見学後、荷物をピックアップし、レーに戻る前に最後に向かったのは、バスゴゴンパ。この時の夫のみならず、思い出して書いている今の私も、読んでくれている方も飽き飽きしていると思いますが!ラストです!

レー方面のバスは朝7:00のみで、このとき時間はすでに10時近く。
サスポル村とアルチ村の分岐の橋のところまで行けば、簡単に車が捕まるよ、と教わったので、まずは橋まで歩きます。
小学生が、大きな声で呼びかけしながら、行進と太鼓の練習をしていて可愛い。

橋の麓で待つこと、30分。車はたくさん通るけれど、満車かツアージープでなかなか乗せてもらえず、でもやっと乗せてくれた地元の大柄なお兄さんは、「タクシーじゃないからお金はいらないよ」と男前な言葉。

お兄さんの車を下車し、指差された方角に、高い崖の上にあるバスゴゴンパ(Basgo Gompa)を目指して登っていきます。

鋭く尖った崖のてっぺんに、ぽつんと建てられたバスゴゴンパの外観は、遠目からも素晴らしくて、期待で胸が膨らむ。

 

小さなゴンパの内部は、壁画も巨大な仏像も素敵だったのだけれど、照明の真っ青なLEDライトが、なかなかに雰囲気を壊していました。

立地と外観がとても良かっただけに残念。

レーに向かう大きな通りまで下山し、ちょうどよく来たバスに乗り込んでレーへと帰還。バスゴゴンパからレーへの、乗車時間は1時間ほど、料金は80ルピー(120円)/人。

途中購入したサモサ。

疲れたー!今夜こそはビールーーー!

数日はレーで休憩し、次はテントを持って2泊3日でピークハントしに行きます!

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