貸切プール付き別荘と野生生物、自然豊かなヒッカドゥワで考えるゴミのこと

October 02, 2019

ネゴンボの次に向かったのは、スリランカ再訪を誓うきっかけになった小さな田舎町ヒッカドゥワ(Hikkaduwa)。

私事だけれど今年の7月7日は我々の結婚10周年だったので、いつもよりもちょっと豪勢に(と言っても一泊2,800円と料金はとてもリーズナブルに)プール付きの別荘風一軒家を借りて、2019年6月30日〜7月9日の10日間を過ごしました。

暮らしたエリアは原風景そのもので、村人たちの昔ながらの生活の様子や、野生生物の多く住むジャングルの豊かさや、プラス、”安価に借りられるプール付きの一軒家”のおかげで(笑)幸せな思い出の地となり、今、わたし的、子連れアウトドア家族にオススメしたい一押しの旅先はスリランカです。日本からはスリランカ航空の直行便もありますよー。

自然の実りが豊かなヒッカドゥワでの生活と、そこで考えたゴミ分別のことなんかです。

海辺の田舎町ヒッカドゥワと野生生物

スリランカ南西岸に数十キロにも渡って続くビーチの中に位置する、小さな町ヒッカドゥワは、旅行者にとってはスリランカに点在するサーファービレッジのひとつ、またはスリランカでは数少ないダイビングスポットの拠点で、海沿いに延びるメインロードには安宿やローカル食堂、市場やスーパーマーケットが並んでいます。

観光地的には20km南下したところにある、旧市街の街並みが世界遺産の街、ガル(Galle)が有名。

海沿いに広がる町の中心は買い物やビーチに行くには便利だけど、海がオフシーズンだったのもあり、私たちが滞在を決めたのは、メインロードからは2〜3キロ内陸に入ったジャングルの中にあるお家。
周囲はマングローブ林や水田が広がり、小さな民家がぽつぽつある穏やかな場所で、近隣に住む人はすぐに顔を覚えてくれ毎日心温たまる挨拶を交わすことが出来たし、裸足で駆け回る子達は我先にと手を振ってくれて、艶やかな水牛が闊歩し、緑の色の濃い素敵な場所でした。

町の中心から比べると静かだろうと思ったけれど、陽の高い日中以外は、周囲は常に野生生物の気配が充満していました。
庭を走りけたたましく鳴くリス、夜になると合唱をはじめる様々な昆虫、初めて見た時はギョッとした、夕暮れ時に群れをなして頭上を行き交うカラスよりも大きなインドオオコウモリ。

カラフルな数多の野鳥で、私たちが名前を知っているのは真っ青に光る羽をもつカワセミとクジャクとキツツキくらいだったけれど、カワセミだけでも10種類以上いるらしい。

これも初めはびっくりした1メートル以上の大きさのオオトカゲ、水たまりや裏庭に潜んでいますが、人の気配がするとゆっくりと逃げていきます。

家の中に手のひらサイズの蜘蛛がいることはしょっちゅうだし、つねに部屋のどこかしらにいる小さなトッケイやカエルは気にならない家族のような存在に。

近所のおじちゃんが自慢げに手に乗せているのは、たぶんハクビシンの子供かな?

陸上の野生生物の他に、ヒッカドゥワのビーチには、常時数匹の海亀が暮らしていました。

ビーチにいるおじさんが「亀にあげる用の草があるよ(売り物の意味)」と言っていたから、この子たちは多分少し餌付けされていると思う、でもそれにしたって、野生生物と人間の営みのバランスや距離感がとてもいいなあと感心する。

実り豊かなジャングル

ジャングルの中には、アボカドやマンゴーやジャックフルーツやココナッツの実が自成していて、道端ではビタミンが満点そうな色彩豊かな南国フルーツが、数十円と日本から見たら嘘みたいな値段で売られています。

ランブータンとドラゴンフルーツ

アボカドもマンゴーもバナナも日本で食べるのよりずっと美味しくて、狂ったように食べていました、でも私たち以上にスリランカの人たちはみんな驚くほどフルーツをたくさん食べる。

アボカドとマンゴーと一括りに言っても南国だとそれぞれ5種類以上の品種があります。バナナにいたっては10種類以上もあって値段も1本5円と格安、そして行く先々でいろんな人がくれちゃう、ちょっと供給過多気味なフルーツ。

野菜も安くて種類が豊富、植物の茎のようなちょっと筋張ったもの、モロヘイヤの親戚のような葉っぱ、その他どうやって調理していいかわからないものが多数だったけど、世界中どこででも手に入るトマト玉ねぎじゃがいも人参のほか、大根やウリ類、ナス、インゲン、ゴーヤなんかも良く売られていました。

アボカドの塩昆布のせと並んで登場回数の多かった、スリランカでのお気に入りの日本風つまみは、オクラを茹でたのに鰹節醤油。日本ではネット入り10本で100円するちょっと高級風情なオクラだけど、30円で50本くらい買えます。

(上にのせているのはちょっと硬くしすぎた温泉卵)

海からのめぐみももちろん。頻繁に食べたのは調理しやすい大きさのシマアジとサバ、ここでも毎日のように食べたエビは500gで150円くらい。

スリランカでは魚類に比べて肉類の方が手に入りにくく、お肉屋さんで取り扱っているのは、鶏肉がほとんどで、次に冷凍の豚肉、たまーにマトンを見かけるくらいかな。

初めてのプール付きの一軒家

ヒッカドゥワで滞在したのはイタリア人ホストが保有する、寝室とバスルームが2つずつ、裏庭にはBBQスペースもあり、二人きりなのがさみしく感じるほどの大きな2階建て一軒家で、airbnb 歴5年、借りた部屋は90軒を超えたけれど、思い出に残る家ベスト5には入る、初めてのプール付き物件。
ここは活発で逞しい子供か友達がいたら本当に楽しいだろうなあ。

WiFi、洗濯機はあったけど、クーラーはありませんでした。

大人二人だけの我が家ですが、クーラーがない物件だったのもあり、暑さ凌ぎに一日に3回くらいプールに入っていました。
小さなプールだから泳ぐのには物足りなくて、途中からは浮き輪につかまりながらスマホを見る、という怠惰なスタイルだったけれど、プールに浸かって動物の気配に耳を澄ますのは至福。

風の通りがいいように、家全体の壁には風穴が多く設けられていて隙間が多く、そもそもクーラーには適さないお家だったので蚊はそれなりにいましたが、スリランカで広く使われている虫除けシトロネラオイルと蚊取り線香で凌げる程度でした。

あらかじめホストの方に相談し、滞在期間は借りっぱなしにしていたバイクのレンタル料は1日800ルピー(500円)。

ヒッカドゥワからのおすすめ観光

サーフィンを習いながらのんびり滞在し、周りの空気感を楽しむのがヒッカドゥワに向いた滞在方法かなと思うけれど、私たちが出かけた観光スポットを2箇所おまけ的にご紹介。

ウミガメ保護センター

傷ついた海亀を保護し、絶滅に瀕した種類の海亀を孵化させて、海に返す活動をしている「海亀保護センター(Sea Turtle Hatchery & Rescue Center)」。

小さな施設のわりに500ルピー(300円)かかるというので、入り口で入るかどうかちょっと迷ったんですが、「このお金が海亀を助けるのに役に立つから」という館長さんのお言葉で入りました。

7〜8種類の海亀は怪我をしているものもいたけれど、きちんと管理されてどれも美しかったです。

それと赤ちゃん海亀、館長さんが触っていいよというので、ちょっと罪悪感ありながらも触らせてもらいました。可愛すぎるー。

世界遺産の街ガル

ヒッカドゥワから南に片道20kmのところにある世界遺産の街ガル(Galle)には借りていたバイクで訪れてみました。

海に面したガルの旧市街は城塞に囲まれていて、コロニアルな白い教会や灯台がとても美しく雰囲気のある街で、海もヒッカドゥワと同じくらいに綺麗でした。

南部州の州都でもある大きな街なので、滞在するにはちょっとごみごみしすぎていたし、旧市街の中のレストランは普通の食堂の5倍以上の値段がしていたので、私たちは日帰り旅行で十分だったけれど、ヒッカドゥワに滞在していたら外せないスポットだと思います。

スリランカのゴミ分別

スリランカはビールの空瓶は酒屋に返す国で、ビール大好きな私たちは、この”空瓶をリサイクルする国”に行くととても安心します。(スリランカビールの話はこちら → 漁師町ネゴンボ。スリランカのお酒の話しと、満月の禁酒日「フルムーン・ポヤ・デー」)

新しいアパートメントに移るとまずホストの方に確認するのは、飲料水のこととゴミの捨て方(あと国によってはトイレットぺーパーをトイレの中に捨てていいかどうか)なんですが、スリランカの前に滞在していた中央アジアでは、ゴミの分別をする文化は今の所はなくて、街中にある大きなゴミ箱に全部まとめて捨てていました。大容量のペットボトル入りビールが多かった国はまだ良かったけれど、カザフスタンでは主に小瓶のビールを飲んでいたので、自分たちのせいとはいえ毎日出る大量の空瓶を見ると心苦しかったー。
ヨーロッパ諸国では多くの国が瓶やペットボトルを返却させるシステムを取り入れているし、日本もゴミの分別にはそれなりに厳しい国だと思います。
最近ではゴミになるプラスチック製品を規制する国も増えてきているし、今年私たちが滞在したところだと、インドのラダック地方がそうでした。

話を世界規模にするとまとまらなくなるんですが、スリランカは現在でもゴミの収集率は3割程度のようで、実際にゴミ収集車や公共の場でのゴミ箱は、特に田舎ではほとんど見かけません。
ネット上で調べると、観光客の増加や生活スタイルの変化で、この20年間でスリランカの一般ゴミの量は倍に増えゴミ処理は大きな問題のひとつになっているらしく、確かにエッラという欧米人に人気の観光地では、町の端っこに処理しきれないゴミの集積所が匂いを放っていました。
でも、ゴミの収集率が3割程度とは思えないくらいに、それ以外の滞在した町ではゴミが散乱している場所をほとんど見ることがありませんでした。

ここヒッカドゥワで生活していた間は、世話をしてくれた家族の「鳥やオオトカゲや犬が食べるから大丈夫だ」という教え通りに、果物の皮や魚の骨なんかの生ゴミは裏のジャングルに捨ててたんです。他のものも言われた通りに紙ゴミとそれ以外のゴミの分別をしていたけれど、瓶ビールは酒屋に返却し、市場で食材を買ってもそのまま渡されるか新聞紙に包む程度なので、10日間滞在してもゴミはそれぞれ袋に一つずつしか出ませんでした。地域に住む人たちは庭でゴミを焼却していたので、自分たちでほぼ完全に処理ができている様子。
人口のバランスがいいし、清潔好きな国民性だから、回収率が低くても他の発展途上国に比べてゴミの秩序が保てているのかなと思うし、それが成り立つならそのほうがいいんじゃないか、とも思う。

民主社会主義であることや、宗教や、一つの島国であること、教育制度なんかも関係してるんだと思うけど、ゴミ以外にも、経済格差が少なくて治安も良くて、人々は親切で人間性が高くて、スリランカって秩序が保たれたとてもいい国だなと感じることができるようになったのはヒッカドゥワで過ごした10日間のおかげです。

ゴミの分別がどうのこうの、リサイクルがどうのこうのという前に、日本はなんでも過剰に包装しすぎだなー、あとは瓶ビールをもっと一般的にして欲しい。
そんなわけで、先日帰国しましたが日本ではビールは控えて、紙パックに入った芋焼酎を、水道水にソーダストリームで炭酸を入れたもので割った焼酎ハイボールで晩酌してます。

次は内陸の町エッラの観光と、スリランカで一番美味しかったスリランカカレーの話の予定です!

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