【秘湯】ワハーン回廊で温泉三昧〜ガラムチャシマとビビファティマ

June 02, 2019

ホーログを拠点に2019年5月5〜7日、2泊3日でワハーン回廊に行って来ました。ワハーン回廊は人が住むエリアの中では世界屈指の秘境で、旅するには数人でジープをチャーターするのが一般的、でも団体行動が出来ない天邪鬼なのでヒッチハイクやシェアタクシー、あとちょっとだけ徒歩で個人的に周りました。

目的地はガラムチャシマ温泉(Garmchashma)と、ビビファティマ温泉(Bibi Fatima)。辺境で入る秘湯と、小さな集落で暮らす優しくてフレンドリーなタジクの人々、道中の絶景とどれをとっても最高で、はっきり言ってパミール高原よりもずっと良かったです。
普段ひきこもり系旅行者である私たちが、こんなにたくさんの人と関わりながら旅したのは初めてかも、たった2泊3日だったなんて信じられないくらいに濃密な時間でした。これはみんな自転車で旅するわけだわーー。

1日目 ホーログからガラムチャシマ温泉へ

初日の目的地は、ホーログから42kmほど南下したところにある温泉保養地、ガラムチャシマ。

ホーログを出発した5月5日は日曜日で、タジキスタンの特にこんな田舎エリアでは、休日である日曜日は誰も移動しないので、宿のホストファミリーにも「タクシーが見つからなかったら戻っておいで」と送り出されました。

ホーログの市場の側で、案の定見つからないワハーン回廊方面行きのマルシュートカを待っていた(探していた)のは1時間ほどだったんだけど、一緒に待ってくれる人や、タクシーの値段交渉をしてくれる人、英語を話せる人を探してきてくれる人と、次から次へと助っ人が現れて、ありがたいやら申し訳ないやら、、あまりにみんなが助けてくれようとするので、「明日出発することにするね」と嘘をついて、ガラムチャシマ方面へ歩き出してみることに。

フルマラソンと同じ距離だと思えば、最悪全行程歩くことになってもなんとかなる、なるか?と思いながら、歩き出して10分後、あっさりとヒッチハイクに成功。止まってくれたのはガラムチャシマに向かう小さな乗用車で、すでに男性4人が乗っていて更に私たちが追加されて車内は全く隙間がなくなったけれど、賑やかなドライブです。

この日も対岸には、平和そのものに見えるアフガニスタンの村々。

ヒッチハイクと言ってもこのエリアではお金を払うのが通例なんだけど、会社の同僚だという粋な四人組には、断られてしまったので、ありがたくタダ乗り。

道中、他の村人の荷物を預かったり届けたり、ガソリンがなかなか買えなくて軍の施設に寄ったりしながら、2時間半ほどでガラムチャシマに到着です。

写真の白い石灰棚が温泉。

ガラムチャシマでは3箇所ほど宿を見て回り、父母と少年二人の4人家族の経営する小さな売店兼宿に決めました。家族が住む家の二階に4部屋ほど並ぶ簡易的で小さな客室は、毛布の下にある布団を適当に広げてただ寝るためだけのスペース。

料金は一部屋50ソモニ(600円)/泊で、食事なし、電源あり、WiFiなし、トイレは屋外の離れで、水道なし。水道がない、というか滞在時に村全体の水道管が壊れていたようで、他の宿や昼ごはんを食べた食堂でも水道はあっても使えないと言われました。村の真ん中を川が流れているし、水道が壊れていることを気にしている人は誰もいない雰囲気だったけど。

宿泊した宿の2階入り口からの景色、小川でいつでも手が洗えるし、温泉(写真の左奥)も見える好立地です。

涼しくなる夕方までは、この川の上流にある集落を散策。

とても小さな集落に見えるのに、元気いっぱいの子供達がびっくりするほどたくさんいて、ハロー!と遠くから叫んでくれたり、近寄ってきて覚えたての英語で名前や年齢(←最近ちょっと嫌w)を聞いてくれてとほのぼのとした気持ちになります。

散歩の後は満を辞して温泉へ。温泉は貸切の内湯と、男女交代制の露天風呂があり、私はこの日の夕方は内湯へ、翌朝は露天風呂(貸切だった!)に入りました。

写真の通り青みを帯びた白濁りのいいお湯で、日本の温泉と同じくらいの温度で、想像よりも清潔で、超絶気持ち良かったです。貸切の内湯の方は20分って言われたので焦って出たけれど、いくらでもいれるし何度でも入りたい。料金は地元の人は無料で、外国人は掃除係のおじさんの言い値のような感じ、15ソモニって言われたけれど10ソモニ(120円)/回にしてもらいました。

お昼ご飯は村で唯一の食堂で食べて、夕飯は宿の廊下部分にあり合わせの食卓を作って持参したゆで卵やハムやチーズ、パンなんかで。質素なご飯だけれど、上手くいった今日1日を振り返ってとても幸せな夕餉でした。

200mほど離れた屋外トイレに向かう時に見える、満点の星空も素晴らしかったー(カメラ技術ないので写真はない)。

2日目 ガラムチャシマからビビファティマへ

2日目の目的地は、ビビファティマ温泉の麓の村トゥゴズ(Tuggoz)、ガラムチャシマからは距離にして150km。まずはワハーン回廊の中心の街イシュコシム (Ishkoshim)まで行って、そのあとトゥゴズを目指します。

起きてすぐ6:30頃に朝風呂しにいったら、温泉の前にマルシュートカが停車していて「イシュコシム行きだったら乗りたいな」とよぎったけれど、温泉への欲望に打ち勝てずに行き先を聞くこともなく見送り。結果、ガラムチャシマ出発の際の7:30にはもう今日はマルシュートカはないよと言われてしまいました。マルシュートカに乗りたい場合は、前日のうちに宿の人に聞いておいたほうがいいです(当たり前か)。

なので、車通りが多いであろうホーログ〜イシュコシム間を走る大きめの通りまで出ることにしました。ガラムチャシマの分岐にあるアンデロブ(Andarob)までは6km。

夫の荷物は二人分の寝袋とワインとビール(村で買えないと困るからw)が入っていて大きいけど、使わない荷物はホーログの宿に預けているので私はお菓子の入ったデイバックのみ、のどかな朝のお散歩で気持ちがいい。

あっさりとアンデロブに到着。でもこの分岐点でイシュコシム行きの乗り物を見つけるのが、ワハーン回廊中で一番時間がかかりました。逆方向のホーログ行きは数十台通っているのに、東に向かう車が全然来ない!3時間近く待ったかな、ここでも何人もの人に助けてもらって、無事に物資を運ぶトラックの助手席に乗せてもらえました。

細い渓谷だったワハーン回廊もイシュコシムの周辺からは川幅が太くなり対岸もはるか遠くに。

50ソモニ(600円)くらいが相場なのかなーと思ったけれど、とても助かったのでこのドライバーさんには2人で100ソモニ(1,200円)を支払いました。

イシュコシムはホーログに比べると半分くらい、こんな辺鄙なところにあるわりになかなかな賑わっている町で、ここだとホームステイ型じゃないちゃんとしたホステルあるみたい。お昼ご飯に寄った食堂でもホーログと変わらない食事ができたし、お昼ご飯後は、英語の話せる中学生男子が手伝ってくれて、すぐにトゥゴズ行きのシェアタクシーが見つかりました(2人で100ソモニ)。

2時間ほどでトゥゴズに到着。ここからビビファティマ温泉までは8kmですがこの日はこの村に泊まります。

トゥゴズ村では「どこで眠れる?」とジェスチャーし、少年3人が連れて行ってくれた『Akim Home stay』へ。Maps.meにも記載のある有名なホームステイのよう。オーナーのおじいちゃんであるアキムさんがなかなかにお金にがめつそうで印象はよくなかったけれど、他を探すのも面倒くさいし、お嫁さんがなんだか気の毒な雰囲気だったので宿泊しました。

言い値は2食付きで15USD/人、値引きしてもらって二人で200ソモニ(2,400円)支払いました。夕飯は野菜スープヌードルとパン、朝は目玉焼き1個とパン、と食事の内容的にも本当は半額の100ソモニでも十分な感じ。施設はガラムチャシマと同じようだったけれど、水道はあって水シャワーも浴びれます。

荷物を降ろしてお茶を飲んでいると、庭にある竃で、お嫁さんとおばあちゃんがパンを焼き始めました。毎日焼いているんだって。

夕飯前に村の入り口にあった売店でビールを調達しようと宿を出ると、羊に囲まれたり、子供達に囲まれたり、握手をしたり、大きなパンをもらったりと、こんな辺境でもとても賑やかな道中。

モロッコやトルコの田舎なんかでも同じように人が集まってきたり、写真撮ってと言われたりすることはあったけど、このエリアでは子供達の誰一人にも”なんかちょうだい”的なことを言われませんでした。土地柄なのかな、それとも旅行者が格段に少ないのかな。

長いお散歩の末に無事にビールをゲットして、帰ってきての夕飯。

「圧倒的に物資が少ないんだから仕方ないよね」とこそこそ話してたけれど、スープヌードルの少なさが悲しかったなー(笑)。焼きたてのパンはもちもちでとっても美味しかったです。

たくさんの人たちに優しさと元気をもらった、でも最後にアキムさんにちょっとモヤっとした一日。

3日目 ビビファティマ温泉に入って、ホーログへ帰る

朝7:00〜夜19:00までだというビビファティマ温泉に昨晩は間に合わなかったので、この日は朝5:00に起きてまずは温泉へ。その後できればホーログまで帰りたいけど、難しければイシュコシムで一泊の予定。結果、歩いたり乗り継いだり時間はかかったけれど、夕方前にホーログへ帰ることができました。

秘湯ビビファティマは、トゥゴズ村から徒歩用のショートカットの登り道を5km歩いた山奥にあります。

日が昇りきったワハーン回廊はとても美しい。

途中ヤムチュン遺跡を通過。

1時間半歩いて到着したビビファティマ温泉は、男女別に分かれている洞窟風の作りの温泉でした。朝一の女風呂はかなり混んでいて、これは先客が誰もいなかった男風呂の様子。お湯は透明で打たせ湯のように数カ所から温泉が流れ込んでいます。

温泉の質的にはガラムチャシマのが好きかな、でも立地の秘湯感はビビファティマです。標高も高く冬場はとても寒いだろうワハーンで、この温泉はどれだけ人々の癒しになっているだろう。
料金はここも地元の人は無料で外国人は定額10ソモニ(120円)。

入浴後は急いで下山し、宿の朝食を食べて、ホストファミリーや昨日立ち話した村人に挨拶をして出発。トゥゴズのバス停のような場所で10分ほど待ったけど車が通る気配は全くないので、7km離れた隣村 Zumudg まで歩いてみることにしました。

小さな集落がポツポツあって、村人は農作業や家畜の世話をしながらこちらに気がつくとみんな手を振ってくれます。お茶や朝食に誘ってくれたり、どこの国?歩いて旅してるの?と各所から声がかかって、なにこの穏やかな旅感、楽しぎ過ぎる(笑)

アフガニスタン側には雪山が聳え、タジキスタン側は花が咲きほこり、真っ青な空にからりとした風が吹いて、こんなの車で一気に移動するのなんて勿体ない。絶対に歩きか自転車で旅すべき場所だー。

どんなに気持ちよくても、装備も日にちも不十分な今回の私たちに徒歩旅を続けるのは難しかったので、隣村 Zumudg で 10km先の Shitkharv に行くというミニバンに無理を言って便乗させてもらいました。
8人が限界であろうという小さなバンに大人が12人、子供2人を乗せてぎゅうぎゅうの状態でこれまた超賑やかに車を走らせます(料金は5ソム/人)。

Shitkharv に到着するとこのドライバーさんが、イシュコシム行きのシェアタクシーを紹介してくれました。

Shitkharv では、イシュコシム行きのドライバーさんに呼ばれて他の乗客について行き、小さな小屋へ。納屋のような作りの薄暗い小屋の中では子供を抱いたお母さんや、ちょっと障害のある子たちなんかが座ったり話したり料理をしていました。ちょうどお昼時だったのもあってどうやらここで昼食をとる様子、促されて数人で囲んだ座卓で、お米をバターで煮込んだようなものと、塩辛いミルクティー、パンを頂きました。

みんなが食べ終わるとイスラムのお祈り、支払いは必要ないとのこと。何か宗教的な施設だったのかな、独特な雰囲気だったけれど旅行者だけでは行けない場所なので、参加させてくれたドライバーさんに感謝です。

小屋を後にし、ホーログに今日中に行くのは難しいような事をドライバーさんに言われながら、イシュコシムに向けて出発です。

このシェアタクシーでの私たちの席はトラックの荷台。
100人くらいの村人たちと手を振りあって、下校中の学生は車のあとを追って走ってついて来て、ワンコは車に吠えかかって、とてもドラマティックだった、、!

イシュコシムまでの料金は二人で50ソモニ(600円)。

イシュコシム到着が15:00過ぎてしまったので、今夜はここに泊まることになるだろうなと覚悟したけれど、香港在住の女性と3人でタクシーを探す流れになって、350ソモニ/台でホーログまで帰りました。

これで私たちのワハーン回廊の旅は終了。旅感満載だった3日間、ホーログで休憩を挟んで次はパミール高原へ向かいます。

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