美しい地球を体感。アイスランド・ロイガヴェーグルトレッキング2018【準備とアクセス編】

December 21, 2018

アイスランド南西部のハイランドと呼ばれるエリアには、ランドマンナロイガル(Landmannalaugar)からソルスモルク(Þórsmörk)までの全長約55kmの『ロイガヴェーグル(Laugavegur)』という、ハイカー憧れのトレッキングルートがあります。
55kmと長くはないルートの間に、氷河で削られた美しい渓谷や、ジュラ紀を思わせる平原や、蒸気を吹き上げる地熱地帯や、パステルカラーの火山灰の堆積や、おとぎ話のような小川と光苔など変化にとんだ景観のトレイルです。

人間が誕生する前の地球を見ているみたいな、唯一無二の素晴らしいトレイルを2018年8月17日〜20日で歩いた、私たちの2018年の5ヶ月欧州旅で一番の冒険レポート、準備編です。


ロイガヴェーグルトレッキングルートはハイランドと呼ばれるこのエリアにあります。

トレッキングルート

このトレイルを歩くトレッカーの95%は標高差の関係で少し楽な南下コース(ランドマンナロイガル → ソルスモルク)をとりますが、私たちは北上コース(ソルスモルク → ランドマンナロイガル)にしました。

理由は、トレッキング後のランドマンナロイガルでの天然温泉の魅力に勝てなかったから。

ランドマンナロイガル(Landmannalaugar)からソルスモルク(Þórsmörk)までの約55キロを3泊4日で歩くというのがメジャーなルートなので、逆ルートとはいえそれにならって私たちも3泊4日かけて歩くことにしました。


私たちが当初予定していたルートはこちらです。

  • 1日目 Þórsmörk → Botnar (15km)
  • 2日目 Botnar → Hvanngil → Alftavatn (15km)
  • 3日目 Alftavatn → Hrafntinnusker (12km)
  • 4日目 Hrafntinnusker → Landmannalaugar(12km)

でも結果的には、途中トラブルがあってこうなりました。

  • 1日目 Þórsmörk → Botnar (15km)
  • 2日目 Botnar → Hvanngil → Alftavatn → Hrafntinnusker (27km)
  • 3日目 Hrafntinnusker → Landmannalaugar(12km)
  • 4日目 温泉!


2日目と3日目の行程を1日で歩くことにしてしまったので、2日目の最後はかなりしんどかったけれど、結果、早朝の無人の天然温泉に入れたので結果オーライ。

ルート中は常に多少のアップダウンはありますが、Alftavatn から Hrafntinnusker にかけての登りが一番長かった様に感じました。これを降りのルートにするためにほとんどのトレッカーが南下のルートをとっているんだろうな。

季節と気候

私たちが歩いた8月中旬でも雪上のコースはあり、 Hrafntinnusker付近が一番多く雪が残っていましたが、雪の残る場所は平らなところが多かったのでアイゼンが必要な感じではありませんでした。アイゼンというよりは防水加工のトレッキングシューズの方が重要かな。

そしてこのトレッキングコースは四駆でのみ走行可能なオフロードの先にトレイルヘッドがあり、ランドマンナロイガルスタートでもソルスモルクスタートでも、スタート地点へは通常はバスでアクセスすることになります。
このバスは6月下旬〜9月上旬しか運行していないので、実質トレイルを歩くことが出来るのはこの期間のみになります。

トレイルヘッドまで運行しているバス。

Hrafntinnusker付近が標高1,100mとこのトレイルの中では一番標高が高く、2日目の夜はかなり寒かったですが、それでもマイナス5〜6度だったんじゃないかな。キャンピンググラウンド上に雪はありませんでした。

私たちは7年以上愛用しているモンベルのダウン寝袋(私が#0、夫が#1)を持って行ったので、寒くて寝られないようなことはなっかです。

これです(Amazonのリンクに飛びます)。

寝袋の下にはサーマレストの空気で膨らます式のマットを敷いてます。これももう8年目になるけど健在でキャンプの際には常に使用してます。

寝袋が薄い人は、ヒートテックやホッカイロを多めに持って行った方がいいかな。足りない装備はレイキャビック市内でレンタルすることも可能な様です。

8月中旬であれば死ぬほど極寒というわけではなかったけれど、それでも日本の関東地方で真冬にキャンプするくらいのつもりの方がいいと思います。

滑落や遭難の危険はほとんどないので、1番の敵は寒さと天候の変化かな。
2004年6月27日に、この一般トレイル上で IDO KEINAN さん(25歳) というイスラエル人男性が急なブリザードで亡くなっているので、装備は考えうる中で万全にする必要があるし、無理は絶対にしちゃだめです。

トレイル中にあったIDO KEINAN さんの慰霊碑。

アイスランド全域の天気は変わりやすく、私たちが歩いた時の天気は、初日は雨で、2日目が晴天、3日目〜4日目は曇り時々雨たまに晴れ間、という感じでした。

装備

ロイガヴェーグルトレッキングルートを歩くために特別なパーミッド等は必要ありません。

宿泊施設は、トレッキング一般ルート上に10kmおき程度にくらいに計5〜6個所の山小屋兼キャンピンググラウンドがあるのでそこを利用することになります。

山小屋の詳細はこちら → https://www.fi.is/en

私たちは全てキャンプ泊でしたが、山小屋に宿泊したい方は予約必須でかなり事前に予約する必要があるみたいです。
また、山小屋に宿泊する場合は山小屋の共有キッチンが使用可能な場合が多いですが、キャンパーが使用出来るのはトイレと水道のみです。

大きな山小屋には小さな売店が付いているのを見かけたし、フリーボックス(いらなくなった人が食材やアウトドアガスを置いていって、必要な人が持って行っていいボックス)がある山小屋もありましたが、トレッキング中全日程の食料と、調理が必要であればアウトドアガスは必須です。

通常の日帰りハイキングに加え必要なもの。

  • 防寒着(関東真冬キャンプかそれ以上)
  • 手袋・帽子・サングラス
  • 雨具(上・下)
  • 調理器具(鍋・食器・アウトドアガスストーブ・ライター)
  • 食料(3〜4日分)
  • 水を入れる容器(山小屋で水が汲めるので持っていく水は1ℓ/人あれば十分だと思います)
  • テント・寝袋・マット(マイナス5度以下でも平気なもの)
  • サンダル
  • ゴミ袋(ゴミ箱がある山小屋もありましたがない所もあります。ない場合は持ち帰る必要があります。)
  • チョコレートなどの携帯食
  • ヘッドライト
  • 歯ブラシ・小さなタオル(笑)
  • 水着(温泉に入る場合のみ)

あると便利なもの

  • トイレットペーパー(全ての山小屋トイレにありましたが念の為)
  • トレッキングポール
  • ホッカイロ
  • 体拭きシート

その他トレッキングで必要でない荷物はレイキャビックのキャンプサイトに預けてきました(荷物1個につき600ISK/日)。

追記1:川を渡る

トレッキングルート上に4〜5個所、川を渡るポイントがあります。川は一番深い所で150cmの私の太ももくらいの深さがありました。
この川を渡る際にはサンダルは必須だし、トレッキングポールもあった方がいいかな、と思いますが、人によっては裸足で渡っている人もいました。

追記2:シャワーと温泉

私たちは3日目のランドマンナロイガル(Landmannalaugar)でのみシャワーを浴びました。1回500ISK(500円)。
その他にEmstrur、Hvanngil、Alftavatnの山小屋でも別途500ISKでシャワーは利用可能なので、シャワーを浴びる予定の方はシャワー道具も持って行きましょう。
ランドマンナロイガルで天然温泉に入る予定の方は水着を持って行った方がいいです。

追記3:充電

私たちは自分たちのいる位置を把握するためにスマホのGPSを使用していましたが、山小屋での充電はできませんでした。節電する、または必要であれば予備バッテリーがあると安心だと思います。位置確認はしていましたが、道しるべが数多くあるので道に迷うことはあまりないと思います。

追記4:お金

ロイガヴェーグルトレッキング中のキャンプグラウンドの利用料金は、2018年時点ではどこも一泊2,000ISK(2,000円)/人でした。山小屋の宿泊料金は一泊7,000〜9,000ISK/人。あとトレイル中に山小屋併設の小さな売店もあるので何か買う可能性も考慮した方がいいです。
クレジットカード払いも出来る山小屋もありましたが、大自然の中なのでATMはありません。現時点では現金の携帯が必要だと思います。

トレイルヘッドまでのアクセス

先ほども書きましたが、トレイルヘッドのランドマンナロイガル(Landmannalaugar)、またはソルスモルク(Þórsmörk)まではバスで移動するのが一般的です。

ランドマンナロイガルへは自家用車で乗り付けている欧米の方もたくさんいましたが、みんなもちろんごつい車で来てました。
ランドマンナロイガル付近もこんな感じなので、普通車で来ることは出来ないと思う。

レイキャビクエクスカーションズ (Reykjavik Excursions)と、トレック(TREK)の2社のバス会社が運行をしており、どちらも片道チケットの他に、「ハイランドハイキングパス」という日にちがオープンの往復チケットの取り扱いをしていました。

私たちは、時間帯の選択肢の多かったレイキャビクエクスカーションズを利用し、バスチケットは宿泊したレイキャビックキャンプサイトで購入・予約をしました。その際に復路便の予約もしましたがチケットさえ持っていて、バス会社が同じであれば違う便でも乗車が可能でした。

ハイランドハイキングパス(往復)の料金は14,000ISK(14,000円)/人。レイキャビック市内であれば宿泊地でピックアップしてもらえます。

レイキャビック〜ソルスモルク

上がレイキャビック発→ソルスモルク着のタイムテーブル、下がソルスモルク発→レイキャビック着のタイムテーブルです。

私たちは、レイキャビック 7:15発 → ソルスモルク 12:00着 の便に乗りました。

レイキャビック〜ランドマンナロイガル

上がレイキャビック発→ランドマンナロイガル着のタイムテーブル、下がランドマンナロイガル発→レイキャビック着のタイムテーブルです。

私たちは、ランドマンナロイガル 19:00発 → レイキャビック 23:05着の便を予約していましたが、当日はランドマンナロイガル 13:00発 の便に乗せてもらいました。

(詳細は公式ホームページをご覧ください。)

・レイキャビクエクスカーションズ (Reykjavik Excursions)

・トレック(TREK)

2010年の噴火あと


余談ですが、レイキャビック〜ソルスモルクのバスでは2010年に噴火したエイヤフィヤトラヨークトルのそばをとおります。噴火自体は大きくはなかったけれど、当時ヨーロッパの飛行スケジュールが1ヶ月にも渡って影響を受け航空運航に重大な混乱を引き起こしたんだって。恥ずかしながら私は覚えてなかったけれど、夫は日本でも度々流れたそのニュースを覚えていました。

上の写真の氷河が本当は下の川になっているところまであったんだけど、噴火の際に現在の場所まで溶けてしまったんだって。

2010年以前の写真をバスの運転手のおじちゃんが見せてくれました。

準備編がすっかり長くなってしまったけれど、トレッキング初日に続きます!


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