アドリア海の旧市街、クロアチアのドゥブロヴニクと、モンテネグロのコトルと、ブドヴァ。
クロアチアのドゥブロヴニク(Dubrovnik)と、モンテネグロのコトル(Kotor)とブドヴァ(Budva)は、それぞれアドリア海に面した旧市街があります。ドゥブロヴニクと、コトルは同じ1979年にユネスコ世界遺産に登録されたそう。
ドゥブロヴニクに3泊して、そのあとブドヴァに4泊し、コトルへはブドヴァからの日帰り旅行でいきました。
クロアチア、ドゥブロヴニク
クロアチア、ドゥブロヴニクは旧市街の美しい街並みが世界遺産に登録され、多数のクルーズ船が寄港する大観光都市。
中世の時代には、海洋貿易で栄えた大きな都市で、アドリア海東側では唯一のライバルはヴェネチア共和国だけだったらしい。15世紀から16世紀にかけて最盛期を迎えていたけれど、1667年に大地震が起きて5,000人の市民が亡くなり建物もほとんど壊れちゃって、その後貿易も不振になり後退してしまったんだって。
近年では、クロアチアがユーゴスラビアから独立する際の「クロアチア紛争」で、1991年セルビア・モンテネグロ勢力によって7ヶ月にも渡って、ドゥブロヴニクが包囲、砲撃されたなんてこともあったんだって。
今はこんなに平和に見えるけれど、20数年前はバルカン半島は大変だったんだもんな。
現在は、周囲4kmほどの旧市街にびっしりと建つ赤い屋根のお家と、真っ青なアドリア海は美しく平和そのものです。
旧市街の中はすり鉢状になっていて、外側に行くほど急な坂になり、路地はどんどん細い階段になります。階段越しに見える、反対側の急斜面の赤い屋根がまた、素晴らしく可愛い。
確かに可愛いし、洗濯物も干してあり生活感もあるんだけれど、細い路地にびっしりと並ぶお家の大半はSOBEと呼ばれる宿泊施設なんじゃないかな、町の人はみんな観光業って感じがする。それはそれでもちろん全然いいんだけれど。
広場がある旧市街の中心部は、綺麗に整備されすぎていてディズニーランドみたい。
さすがに世界の大観光地なだけあって、大勢のツーリストがバスで乗りつけるし、ツアーで回って入る人たちも多いから、いろんなところから解説するガイドさんの声が聞こえてきます。
混んでいるうえに、私たちにとっては物価が高すぎでした。
旧市街をぐるりと囲む城壁に登るだけで、一人120クーナ(2,000円)、スルジ山へのローププェイも一人120クーナ。(もちろん、歩いて登りました。)
旧市街で食事をしようとしたら、一人2,000円以上かかるし、ツインの部屋も6,000円以上、うーん、、整備されすぎな上に、人気がありすぎるなあ、、
キッチンなしの宿に宿泊していたので、こんな雑なハンバーガーや、ハムとチーズと生野菜でパン、みたいな乾いたものばかりを3日間食べ続けました。
スルジ山から眺められるアドリア海は、入り組んだリアス式海岸になっていて、小さな島も点在していてとてもいい雰囲気ではあります。
旧市街前ではカヌーの客引きがたくさんいて、 こういうカヌーで、
旧市街の先に見える緑のこんもりした島に行き、そこでリゾート感を楽しむっていうのも一つの遊び方みたい。あの島のドゥブロヴニクじゃない側のビーチは、ヌーディストビーチらしいし。
宮崎駿映画に出てくる、ロマンあふれる海辺の小さな町を「住民にまぎれて散歩する」イメージを持ちすぎたのが失敗だったんであって、可愛い旧市街付きリゾート地に遊びに行くというつもりで行けばもっと楽しめたかもしれない。
クロアチアやモンテネグロを旅行して、ドゥブロヴニクに行かないという選択肢はないけれど、今思えば、私たちの好み的には1泊で十分だったな。
旧市街から300mくらいの場所に宿泊していたので、早朝や夜にも旧市街を訪れたけれど、観光大都市の顔が崩れ、庶民的な景色が垣間見れる時間帯はありませんでした。早朝が唯一ちょっと静かで良かったかな。
モンテネグロ、コトル
日帰りで訪れたコトルに到着してすぐにやったことは、コトルの旧市街を上から見るために背後にある山に登ること。
コトルは、世界遺産として登録されているのは旧市街だけではなく、周囲の美しい自然も含めた「コトルの自然と文化歴史地域」一帯なので、旧市街を見て回るより先に高いところから広いエリアを見たい。
コトル旧市街の背後には山に登る形で城壁が張り巡らされているので、旧市街内を山側に歩いていけば階段が現れ、その階段は城壁への入り口につながっています。
旧市街の中からその城壁をつたって上に登っていき、コトルの旧市街を見下ろすことももちろんできますが、そのためには、3EURの料金がかかるので、私たちはそのルートは使わずに、旧市街の外側から、登り始めることにしました。
まずは旧市街を突っ切り、川を渡ります。
maps.me(地図アプリ)をよく見ながら、上に登っていけそうな道を探します。ちゃんとしたルートじゃないから仕方ないんだけど、なかなかにわかりにくい道。
30分ほど登って行くと、山々に守られるように、取り囲まれたコトル湾が見えてきました。
三角の形をした、小さな旧市街の可愛さもさることながら、複雑に入り組んだコトル湾と、周りの険しい山の景色がほんとに素敵。コトル湾は、時にヨーロッパ最南部のフィヨルドと呼ばれることもあるらしい。
そして、こんなに入り組んだ場所に町を作った上に、総延長4.5kmもの城壁を張り巡らせて入るんだから、防御の姿勢が念入り。笑
モンテネグロは国土の60%が山で、モンテネグロっていう国名自体も一時コトルを支配していたヴェネツィア共和国の方言で「黒い山」の意味らしい。スペイン語でも山はモンターニャだし、黒はネグロだから似ているね。
見えて入る山々は、最も高い部分だと標高1,200mくらい。私たちはコトルとブドゥバと海沿いしか行かなかったけけれど、モンテネグロの山方面にも行って見たかったなあ。
城壁の外側を登って行く途中にある、廃墟のような教会も屋根の苔の感じや壁が、背後の山の色と一体化していて情緒溢れる景色です。
正規のルートじゃないからか、この道を歩いていたのは私たちだけ。こんな可愛らしい絶景も独り占めです。
最後はこのゲートをくぐると、正規のルートに合流します。こっちにはそれなりに人がいました。
旧市街に降りると、観光地なだけあってもちろん人が多いけれど、背後に迫る岩山と旧市街のコラボがいい感じです。
山々に取り囲まれた港であるコトルは、海賊の隠れ家となっていた時代もあるんだって。
大好きなビールの値段も、500mlのジョッキで2.5EURとドゥブロヴニクの半額。これなら飲めるよ。
コトルも、ドゥブロヴニクと同じように豪華客船がクルーズの途中に寄港していました。
陸地を観光できるチャンスだというのに、船の中でプールに入ってる!
私たちのような旅行好き庶民の感覚からしたら、こんな絶景を見ずに船でリラックスするって、全く共感できない、、
モンテネグロ、ブドヴァ
ブドヴァもまた、アドリア海にせり出した岬に旧市街があります。大きさはコトルの半分以下とさらに小さく、コトルと同様に建築物はヴェネツィア共和国支配下のもの。
私は今回モンテネグロにくる予定をたてるまで存在も知らなかったけど、ヨーロッパではそれなりに有名な観光地らしく、ツーリストも結構います。
海もドゥブロヴニクと同じくらいに綺麗だし、夏はリゾートにもなって賑わうようです。
高低差のある景色が好きなので、路地の風情で言ったらコトルとブドヴァは、ドゥブロヴニクにはかなわないけれど、この二つはちゃんとこの地で生活をする人たちの、観光業だけではない生活臭を感じることができます。
建物が綺麗に整備されすぎてないところや、旧市街を出てすぐにある海辺のゆるい雰囲気も好き。
ブドヴァでは、旧市街上から見下ろせるような山は近くにはないけれど、対岸の海辺から突き出した形の旧市街を見る事が出来ます。
城壁も低く、あまり力を持った都市ではなかったんだろうな。
旧市街の外側から見える城壁にはライトアップする為の明かりがダイレクトに設置されていました。歴史的な建築物だろうに、いいのかな、、
見所としては、さすがにドゥブロヴニクとコトルにはかなわないけれど、なんだか観光地というよりも、ゆるい漁村みたいな雰囲気で面白かったよ。
隣接する新市街には大きなスーパーマーケットもあったし、他の二つに比べて宿泊料金も半分で済むので物価的にも暮らしやすいです。
スーパーマーケットの脇に併設された魚屋さんや、海辺に出ている魚売りのおじちゃんから安い値段で魚介類を購入することもできました。
各都市の移動料金
私たちは、クロアチアのスプリト(Split)からドゥブロヴニクにむかいました。移動は全てバスで、チケットは全部、バスターミナルで当日に購入しました。どの路線も頻発しているので、当日の購入で問題ありませんでした。
・スプリト →ドゥブロヴニク
1人 130クーナ(2,150円) 荷物代1個 7クーナ(115円)
・ドゥブロヴニクのバスターミナル → 旧市街 1人 12クーナ(200円)
・ドゥブロヴニク → ブドヴァ(国境を越えるのでパスポートチェックあり)
1人 160クーナ(2,600円) 荷物代1個8クーナ(130円)
・ブドヴァ → コトル 往路 1人3.5EUR、復路 1人3.0EUR
・コトル → ポドゴリツァ 1人6.5EUR
コトルからは、モンテネグロの首都・ポドゴリツァ(Podgorica)に行きました。
バス乗車中、途中に島全体がホテル(あのアマンリゾーツ!)になっていて、宿泊者以外の立ち入りが禁止されている「スベティ・ステファン島(Sveti Stefan Island)」が見えます。
クロアチアは1991年に独立を果たしたのに対し、モンテネグロの独立は2006年、その差は確実にありました。ブドヴァでは、若い浮浪者のような人も頻繁に見かけました。
モンテネグロの人は、クロアチアはお金もあるし綺麗な海もあるからねって諦めたように言っていたのが印象的だけれど、モンテネグロの美しい山もすごくいいと思うな。
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